実行委員長挨拶
今年度の生命金属に関する研究会は、これまで別々に開催されておりましたメタルバイオサイエンス研究会、メタロミクス研究フォーラム、日本セレン研究会の3研究会を同時に開催することといたしました。これら生命金属に関する関連3研究会を主催とし、令和元年度より発足いたしました文部科学省科学研究費補助事業新学術領域研究「生命金属科学」及び令和2年度に発足いたしました千葉大学グローバルプロミネント研究基幹・次世代インキュベーター研究課題「メタロミクス」との共催とすることに加え、プラズマ分光分析研究会及び英国王立化学協会(Royal Society of Chemistry)の特別後援をいただき、まさに日本の生命金属研究が一堂に会する学術的に重要かつ稀有な機会とさせていただくことができました。
本合同年会においては、必須微量元素の恒常性の維持機構、金属含有酵素の機能とその異常による疾病機構の解明、栄養素の代謝機構、有害微量元素の環境汚染とその人への影響評価や毒性発現の機構、これらの基礎となる元素の分析法など、元素の研究に関連した広範な研究成果が発表されます。また、各研究会の特色を生かした特別講演・シンポジウムも企画いたしております。多岐にわたる分野で活躍中の研究者が、生命金属に関する最近の進歩を持ち寄り、意見を交換し、新たな着想に結び付くような実り多い学術集会とすることができるよう努力いたします。そして、本合同年会を通して、日本の研究者の当該分野におけるプレゼンスを高めることにより、これまで培ってきた世界の先導的立場を今後も維持することができるものと確信しています。COVID-19という100年に一度ともいわれた感染症が昨年末から本年にかけて世界を襲いました。その影響は、健康や公衆衛生はもとより、経済、そして学術の世界にも計り知れない影を落としました。これまで多くの研究集会が、中止になったり、web開催になったりと、これまでにない影響を受けてまいりました。2021年6月に予定しておりました生命金属に関する国際会議The 8th International Symposium on Metallomics(http://www.ism-8.jp/)につきましても、2022年7月に延期をし、首都圏を離れて金沢で開催することといたしました。COVID-19を乗り越え、本合同年会での勢いを、わが国に生命金属に関する世界中の研究者を集めることへと繋げていきたいと願っております。一方で、必ずしも対面にこだわらない新しい形の研究集会も可能となって参りました。本年会につきましては、オンラインと対面のハイブリッドで開催することを予定いたしております。どのような参加形態であっても、本研究分野の振興と若手研究者の活性化に資する運営としたいと思っております。
運営にあたっては、至らぬ点が多く、不手際も多数あることと思います。実行委員会を代表いたしまして、予めお詫び申し上げます。また皆様方のご理解とご協力をお願いすることと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
生命金属に関する合同年会2020 実行委員長 小椋 康光 (千葉大学大学院薬学研究院) |